東京高等裁判所 昭和33年(ネ)2021号 判決
職権をもつて審査するに第一、控訴人(原告)大塚伊勢松は同大塚長太郎、被控訴人大塚局類、同大塚庄蔵、同守屋コマ、同林ミツ、第一審被告内藤ふみを相手どつて東京地方裁判所昭和三十年(ワ)第九三二四号土地所有権確認並に所有権移転登記請求の訴を、又第二、控訴人(原告)大塚長太郎は被控訴人等および大塚伊勢松、内藤ふみを相手どつて東京地方裁判所昭和三十年(ワ)第九三四三号土地所有権確認並に所有権移転登記請求の訴を提起しその請求の原因として、それぞれ、前記の者はいずれも訴外亡大塚ヨシの子であつて、右大塚ヨシが昭和二十年七月三十日死亡したので、その遺産を相続したのであるが、これより先、控訴人大塚長太郎は別紙物件目録記載の(一)の土地を、控訴人大塚伊勢松は、同目録記載の(二)の土地をそれぞれ右大塚ヨシから譲受けたと主張し右各土地につきそれぞれ所有権の確認とその所有権移転登記手続を求めたところ、東京地方裁判所(民事第十四部)は右第二の訴を右第一の訴に併合審理する旨決定した上、大塚長太郎および内藤ふみを被告とする部分についてのみ弁論を終結した。その後大塚伊勢松は右第一の訴について、被告大塚長太郎、同内藤ふみに対する訴を取下げまた大塚長太郎は右第二の訴につき被告大塚伊勢松、同内藤ふみに対する訴を取下げたので、爾後は右内藤ふみを呼出さないで審理を続けた上口頭弁論を終結し原判決を言渡したことは記録に徴し明である。しかしながら要するに右の第一、第二の訴はいずれも訴外大塚ヨシの死亡によりその遺産を共同して相続した自己(原告)以外の共同相続人に対し、相続開始前右大塚ヨシから譲渡を受けた物件に対する所有権移転登記義務の履行を求めるものであるから第一、第二の訴につき各別に、訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合すなわち、必要的共同訴訟の場合に当るものと解すべきであつてこの場合には一部の被告だけについて訴の取下をすることは許されないものというべく、たとえこのような訴取下があつてもその効力を生ずるに由ないものというべきである。従つて原審裁判所が本件について前記のような一部の被告等に対する訴の取下を有効であるとしてこれを審理から除外し口頭弁論を終結して判決の言渡をしたのはその手続に違法があるものというべきである。そればかりでなく前途第一、第二の訴を併合したことにより利害相反する当事者が同一訴訟代理人によつて審理裁判を受ける結果となつたものであつてこの点についても違法のあることを免れない。(なお第一の訴の被告大塚長太郎、同内藤ふみだけについて初に弁論を終結してしまつた点についても問題がある)
(梶村 岡崎 堀田)